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インダスプレス
2004Vol.10
 
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高橋宏明 樫木工房 代表 木工家具作家

樫木(タイトル)

耐用年数・何百年クラスのテーブル。使い手と共に時を歩み、二代目三代目と引き継がれてゆく。そんなテーブル、木製品を作り続ける高橋宏明さんに聞いてみた。

〜樫木工房の歴史〜
親父が、かんなの台を作っていた。昔から木工をやっていて、自分で3代目。祖父から始まった。親父の頃は、学校教材のかんなを作っていた。授業で使われなくなった時期があり、それから親父が、木製の栓抜きやにんじんなどの小物を作り始めた。親父が仕事から帰ってきて、それらを片手に握り締めて晩酌しながら「こんなものを作ったんだけど」と見せてくれた。それが結構楽しそうだった。そんな親父を見て、工芸(木工材)がやりたくなり、高校を出てから、飛騨高山にある木工芸、染色、陶器の学校に入った。2年間工芸概論、美術概論などを学び、実習で家具を作ったり、彫刻を作ったりした。その頃、手作り家具を作っている乙羽さんという方と知り合い、3年間手作り家具を作る仕事をしていた。そこで木工家具や、木の使い方を覚え、三条に帰ってきた。親父に、かんな作りを継ぐのか聞かれたが、高山で家具作りを覚えたのだから、家具を作りたいといったら、すんなり受入れてもらえ、簡単に人生が決まった。以前は、隣に建物があり、そこで作業をしていたが、今は、場所を変え、ギャラリーっぽくしている。作品の狙いは、独創的で面白いもの、見た人が、“「高橋宏明」の物だね”と思われないと駄目、個性を出さないと売れない。全国にライバルはたくさんいる。

〜作品に対するこだわり〜
デザインは置いておき、機能面で長く使えるものにこだわる。
普通の量産家具は、ベニヤ板、アクリルを使ったりするが、手作り家具は、木だけを使っている。木は繊維が縦方向には伸縮しないが、巾方向が伸縮する。それは、部屋の水分や、寝かせた年数にもよるが、それをいかに上手に動かしてあげたり、逆に動かさないようにしたりして作っていくかにこだわりを持っている。大手の家具は、木が息をしないように、動かないように全面塗装してしまう。逆に動いてしまったらクレームが付く。私としては、木は生きているので、生きたまま、ずっと使えるようにする素材の活かし方、自分の技、指し物技術を駆使して、この位の技術で作れば、この木は長持ちするな、と言うのを、自分の中でチョイスして作っていく。
自分の作品は、植物油を塗っている。これは、息をさせるためのもの。漆もそうだが、要は、木を動かし、使うこと。木を動かすと言うことは、部屋の調湿を兼ねるため、体には非常に良い。しかし大手の家具は、コーティングしてしまう。その塗装剤が有害なホルムアルデヒドだったりする。私は、素材感を活かしながら、汚れが付かない、ぎりぎりのところで塗装を仕上げるやり方をしている。使っている木はナラ材。自分が「樫木工房」としたのは、親父が、かんなをやっていて、道具が全部樫木だった。ゲンノウ、ノミの柄もそうだった、固くて粘りがある木はカシ、黒檀も硬く、ゲンノウの柄にもよく使われているが、あまり硬すぎると、たたいた時、手にしびれが来る。それをうまく粘りで吸収してくれるのは、カシが一番。そういう粘り強さと、三代続いていると言うことで、「樫木工房」とした。
家具には、ナラ、ブナが一般的。いすの背もたれの力のかかる部分は、樫などの硬い素材を使うときもある。ケヤキは、神社などに使われているため、高級なイメージがあり、腐れにくく、動きが暴れない。しかし、基本的には選ぶ本人の好み。
私の作品は、木の特性を活かし、使いやすく、また健康にも良い。その中で、自分の遊び的要素・デザイン的要素を盛り込む。自分は、デザイナーではなく、職人の方なので、それらをきちっと守りながら、その上での、デザインの遊びを入れていく。

〜今後の抱負〜
自分の中では、木しか知らないので、自然に近い素材(土、紙)を組み合わせて、物作りが出来たら楽しいと思う。

〜販売について〜
個展を開いたり、ギャラリーに置いてもらったり、口コミでいらっしゃるお客さんもいる。需要があれば、家を見せてもらい、スペースを考え、数種類のパターンを見てもらい、そこからスタートする。

材料となる木の声を聴き、その声にしたがって形を作っていく。まさにそこには自然と一体となった木工匠高橋氏の姿がある。自然を滅した人工物が氾濫する現代、将来本当に必要とされるものは何なのかと、自問しながら工房を後にした。

 
 
 
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三条工業会広報委員会